転職成功法や転職ノウハウは非常に多く目にしますが、退職後の手続きにはフォーカスが当たっていないように感じます。
それもそのはずで、語弊を恐れずに言うと流れに身を任せていれば退職できて就職できます。
しかし、この記事をご覧の方は「説明が不十分だった」「自分がどのケースに当てはまるのかわからない」「調べた情報と自分の立場が一致しない」と感じている方だと思います。
筆者自身も転職を経験していますが、求めている情報はなかなか出てきませんでした。
なかでも引っ越しを伴う転職の場合の行政手続きがの情報はほとんどヒットしませんでした。
レアケースなのかとも思いましたが、社宅に住んでいる方や、転職で他県に引っ越しをされる方、実家に戻られる方はたくさんいらっしゃると思います。
今回はそんな方に参考になる情報を提供したいと思い、転職サイト、役所のサイト、そして筆者の実体験をもとに記事にまとめました。
ここでご紹介するのは「国民健康保険/任意継続保険」と「国民年金」の2つ手続きについてです。
手続きが必要かどうかの判断
まず初めに、手続きが必要か否かを判断します。
必要な情報は「退職日」と「入社日」です。
行う手続きは健康保険と年金とでそれぞれ別ですが、手続きが必要か否かの判断基準は同じです。
退職日の14日以内に入社日となる場合、「自分で」切り替える必要はありません。
これはどちらの手続きも退職日から14日以内に手続きをするという原則に基づいています。
ただし、これらの支払いは「月割」で、「月末」にどこの会社に所属しているのか、もしくはどこにも所属していないのかが重要になります。
3月25日に退職をし4月1日に入社した場合、3月末にはどちらの会社にも所属していないため、3月分の国民保険と国民年金は、3月末に住民票のある自治体に納める必要があります。
また、保険については退職日の翌日から手続きを行うまで「無保険(保険証がない)状態」となってしまいます。
”万が一”のことも考えられるので、なるべく早く手続きを行いましょう。
また、自治体によっては退職日の前から国民健康保険の加入申請を受け付けてくれるところもあります。HPに明記されていなかったり、事情があって事前に受け取りたい場合などはぜひ問い合わせてみてください。
健康保険について
健康保険は扶養に入る他に、切り替え先の選択肢として「任意継続」「国民健康保険」の2つがあります。
これは退職する会社で加入していた健康保険を継続するか、退職時点でやめてしまうかの違いで、退職手続きの際に選べるはずです。
任意継続するにはいくつか条件があるのですが、皆様が気になるのはズバリ、「どっちがお得?」ということでしょう。
これは「年収」と「扶養家族の人数」、そしてどの自治体かによって異なりますが、大まかに言うと年収400~450万円を境に低い人は国民健康保険、高い人は任意継続がお得になります。
年収400万円~500万円の人は退職手続きの前にしっかり確認してください。
ちなみに条件・注意点はこちらになります。
・加入期間が2か月以上であること
・継続最大期間は2年であること
任意継続の場合、退職する会社が加入している保険会社への連絡・手続きとなります。
退職手続き時にしっかり案内されるはずです。
国民健康保険への切り替え手順
年収が低い方は国民健康保険へ加入した方がお得になります。
手続きは住民票のある自治体で行います。
必要なものは、
・職場の健康保険をやめた証明書(退職証明書や社会保険資格喪失証明書など)
・本人確認ができるもの(免許証など)
・マイナンバーが確認できるもの(世帯主のぶんも)
・印鑑(届出本人が世帯主出ない場合)
です。自治体によって多少ことなることがあります。
保険は世帯単位で管理するため、本人と世帯主の情報が必要になります。
保険証の受け取りは当日窓口で即時発行か、後日の受け取りや郵送(簡易書留)が一般的です。
転職に伴い引っ越しが発生する場合や、すぐに保険証が必要な場合など比較的柔軟に対応してくれることが多いので、窓口申請の場合は相談してみてください。
退職後に月をまたがずに引っ越しをされる方もいらっしゃると思います。
たとえば、3月上旬に退職し4月上旬の入社に向けて、3月下旬にA市からB市に引っ越しをするパターンです。
退職~引っ越しがまで14日以上空く場合は、必ずA市での加入手続きが必要です。その後A市転出の際にA市での資格喪失の手続きを行い、B市転入の際に加入の手続きを行います。
14日以内の場合は、B市での加入の手続きだけでも大丈夫ですが、やはり”万が一”のことを考えると、上記のようにA市での加入と喪失、そしてB市での加入を行った方がいいかもしれません。
また、どちらの場合でも3月末日にB市に住民票があるので、A市への支払いは行わず、3月分はB市へ支払うことになります。
転出に伴う喪失、転入に伴う加入の手続きはそれぞれ転出・転入のさいに同時に行ってくれます。
郵送での手続きの場合、転出するときに保険証の返却を忘れずに行ってください。
また、転職先への入社後は国民健康保険の喪失手続きを自分で行います。
必要なものは、
・新しい会社の社会保険証のコピー
・国民健康保険証
です。
コロナ禍の影響で郵送で受け付ける自治体も増えていますので、入社時期が決まっている場合は、加入時に聞いてみてください。
国民年金
続いて国民年金についてです。
こちらも月末に住民票のある自治体への支払いになります。
ただし、次の職が決まっていないなど、支払いが困難な場合はさまざまな免除制度が導入されていますので、窓口で相談してみてください。
窓口は加入の手続きと同じ場合が多いです。
国民年金の切り替え手順
国民健康保険と同様、住民票のある自治体で加入の手続きを行います。
必要なものは、
・職場の健康保険をやめた証明書(退職証明書や社会保険資格喪失証明書など)
・本人確認ができるもの(免許証など)
・基礎年金番号が確認できるもの(年金手帳など)
です。
こちらも期限は退職~14日以内ですので、健康保険とまとめてやってしまうことをおすすめします。
支払先は月末に住民票のある自治体です。
健康保険と同様に、3月上旬に退職し4月上旬の入社に向けて、3月下旬にA市からB市に引っ越しをするパターンを例に見ていきましょう。
退職~引っ越しがまで14日以上空く場合は、必ずA市での加入手続きが必要です。その後A市転出の際にA市での資格喪失の手続きを行い、B市転入の際に加入の手続きを行います。
14日以内の場合は、B市での加入の手続きだけでも大丈夫です。ここが健康保険と異なる点です。
また、どちらの場合でも3月末日にB市に住民票があるので、A市への支払いは行わず、3月分はB市へ支払うことになります。これは健康保険と同じです。
また、入社後の手続きは会社が担当してくれますので、喪失の手続きを役所で行う必要はありません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
✓各種手続きが必要な人は、扶養に入らず、退職日⇔入社日で14日以上空いている、もしくは月末をまたぐ人です。
✓退職14日以上あとににA市からB市へ引っ越しをする場合、もしくはA市で月末を迎える場合はA市での手続きとA市への支払いが必要です。
✓退職14日以内に引っ越しをし、月をまたがない場合はB市での手続きだけでOKです。
✓ただし、健康保険は万が一に備えA市でも手続きを行う(保険証を発行してもらう)ほうがおすすめです。
入社後は、
・国民健康保険→自分で喪失手続き
・国民年金→会社が手続き
です。
少し面倒ですが、手続きを怠るとあとあとさらに面倒なことになってしまいますので、着実にこなしていきましょう。
少しでも参考になれば幸いです!
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